吉岡心平のマーク

タキ5300形5338

私有貨車


 家内とおせち料理を買出しに行った。そこで見たカマボコに触発されて、今回はタンク車のカマボコを紹介する。

 タキ5300形は日車開発のカマボコ形粉体タンク車の一党で、35トンセメント専用車として昭和39〜41年に40両が製作された。チチブセメントが愛用し、関東近辺で広く見られたので、同社独特とのイメージが流布しているが、実は北海道にこんな変り種が隠れていたのである。

 タキ5338は昭和41年4月日車支店製で、35〜39の6両ロットに属する。
 どこが変わっているかは一目瞭然、タンク断面がタキ3800形に酷似した「鍵穴形」となっているのだ。これは設計比重が1と低く、タンク容積が

33.7mと、チチブより3.3mも大きいためである。
 タンク体は普通鋼製で、板厚は胴板4.5mm・鏡板6mmと薄い。寸法は頂部直径が2,300mmとチチブより100mm太くなり、長さは8,600mmと逆に100mm短い。
 台枠は粉体タンク車通例の枕梁間の中梁を省略したタイプだが、石油タンク車を得意とした日車だけあって11系タンク車に酷似した構造となり、長さは9,700mmで、チチブより100mm長い。

 落成時の所有者は富士セメントKK・常備駅は東室蘭だった。昭和45年10月には親会社である富士製鉄の合併に伴い、社名が日鐵セメントKKに変わった。東札幌のストックポイントに運用されていたが、昭和59年12月に全車廃車となった。


タキ5300形のロットブック

セメント専用タンク車のガイド

●参考文献 吉岡心平「カマボコ形タンク車のすべて・私有貨車セミナー第31回」;RM149号(1996)


【特別編553】041228作成R4A+写真1553の2追加、070831R4A2。

タキ5300形5338の写真

【写真1553の1】 タキ5300形5338 昭和57年7月28日 東札幌駅にて P:吉岡心平

タキ5300形5338の写真

【写真1553の2】 タキ5300形5338 P:吉岡心平所蔵

落成時と思われる写真で、富士セメントKK時代の姿である。